■バッテリの強化


完成後の写真

●概要
 CB750FCの純正バッテリーはYB14-LA2(旧湯浅バッテリー製,12V14Ah,開放型注液式)です.しかし,このバッテリーが発売されたのは四半世紀以上前のことです.あろうことか,現在でも当時と同じバッテリーを全国で購入することができます.
 四半世紀以上も前のバッテリーを現在も購入可能なことは,旧車乗りにとって幸いなことですが,性能も当時のままというのが納得できません.現在でも実売で7,000円以上しますが,電気容量を考慮すると実売2,000円以下の軽自動車用に比べて何倍も高く,割高感が否めません.
 そこで,MF型(メインテナンス・フリー)のバッテリーに交換しました.これで電解液の管理から解放され,長寿命化も期待できるかもしれません.MF型は制御弁式(VRLA: Valve Regulated Lead Acid battery) ともいわれ,充電時に発生するガスを閉じ込めて回生し,電解液の蒸発を防ぐので,ある程度の過充電までは電解液の減少がほとんどありません.ただし,限度を超えて過充電すると制御弁が開いてガスを開放するので電解液が減少することがあります.

●最小限の改造で交換
 YB14-LA2の寸法内に収まり,12V,14Ah以上を確保可能なバッテリーを各社のカタログから探したところ,該当する製品はありませんでした.UPS用のシール鉛電池も検討しましたが,該当する外形サイズがありませんし,振動,温度環境,始動時の大電流放電などの過酷な使い方をするのでUPS用シール鉛電池の転用は不安をぬぐい切れません.
 結局,奥行きが長めながらDTX-14BS(12V,12Ah)なら交換可能と判断しました.これはCB1300SFなどに使われているものです.YB14-LA2(公称14Ah)より公称電気容量は少なめの12Ahですが,事実上同じ性能でしょう.値段はYB-14LA2より安価で実売5,000円台でした.
 DTX-14BSは,同じ床面積でさらに高容量のDTX-16BSへグレードアップも狙えます.

型名メーカ10時間率容量奥行き高さ
[Ah][mm][mm][mm]
YB14-LA2ユアサ1413590167
DTX-12BSACデルコ1015087130
DTX-14BSACデルコ1215087145
DTX-16BSACデルコ1415087161

 しかし,奥行きが長すぎて,そのままでは収まりません.現状のバッテリ・ケースのままでも,かなり上下左右にゆとりがあるので,それを考慮しながら現物あわせで検討すると,奥行き以外は現状のままで取り付け可能なことがわかりました.
 つまり,奥行きを延長するためにヒンジ(蝶番)を延長するアダプタ(ストレッチャー)を製作すれば,あとは長めのM5ねじを1本用意するだけで対応可能です.現実にはM5ねじがゆるまないようにするためのロック・ナット,バッテリ・ケース内のすきまを埋める硬質ウレタン・フォーム(100円ショップで30cm角の床敷き詰め材として入手可能),そして電極位置の変更に伴い,少し長めのバッテリ・コードを製作するだけで実現できました.
 なお,バイク側の改造は,もともと付いていたヒンジのシャフトを抜くだけですから,いつでもオリジナルの状態に戻せます.

名称数量備考
ヒンジ(ストレッチャー)1個厚さ1mmのアルミ板で自作
ヒンジのシャフト1本単線のビニール線(アース線)を流用
タッピングねじ6個ステンレス用
M5ボルト1本長さ30mmぐらい
M5ナット1個ゆるみ止め用ロック・ナットとして使う
結線バンド適量大きめのもの
硬質ウレタンフォーム1枚100円ショップで厚さ1cmの30cm角が2枚100円
M5用丸形圧着端子4個100円ショップかDIY店で入手
8sqビニル線(赤)適量
8sqビニル線(黒)適量
MFバッテリ搭載アダプタ(DTX-14BS用)の部品表

 CB750F用に市販のMFバッテリを取り付けるためのバッテリ・ケースがアフター・マーケット・パーツとして1万円を超える高値で販売されているようですが,私はMFバッテリーを除けば合計1,000円以下でできました.加工する手間を厭わなければ安上がりです(^^)


板金加工して製作したのは黄色いヒンジ(ストレッチャー)だけ

 写真で見てわかるように,オリジナルのヒンジのシャフトは除去して,いったんヒンジを外す必要があります.私はディスク・グラインダでシャフト端を削って除去しました.その後,シャフトに同径のビニル単線を挿入します.

 DTX-14BSは純正のYB14-LA2と電極位置が異なります.そこで+側は少し長めのコード,−側は少し延長するコードを作りました.両方とも8sq(8mm2)のビニル線です.

 実はDTX-14BSは少し高さが短めです.また厚み方向の遊びを埋めておかないと振動で損傷する可能性があります.そこで写真で黄色に見える硬質ウレタン・フォーム(100円ショップで30cm角が2枚100円)を隙間にはさみました.少々見栄えが悪いですが,ズレ落ちないようにコンベックスで固定しておきました.次回のバッテリ交換でも再使用できます.


プラス側のコードは少し長めのものを作りました




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