■プチ整備のこつ
メカ音痴の私ですが,整備の際に心がけていることをメモ代わりに記します.「整備」といえるほどでもないので「プチ整備」です(^^;
工具類
ケミカル類
その他
<工具類>
●クラッチ・ワイヤーの潤滑には「オイル・インジェクター」
クラッチ・ワイヤーは放っておくと,動きが渋くなり操作に力が必要になります.こうなる前に定期的に潤滑しておくことをおすすめします.私は,シュコシュコと何の抵抗もなく操作できるのが正常な状態と考えておいて良いと思っています.
用意するもの:
・オイル・インジェクター(ワイヤ・インジェクターともいう;バイク用品店にて数百円)

・スプレー式の潤滑剤(CRC 5-56やWD-40など)
・ウェス
オイル・インジェクターにワイヤーの一端をセットし,潤滑剤をスプレーしてアウター・ワイヤーの内部に潤滑剤を流し込みます.他方の端から滴り落ちてくるまでたっぷり流し込むのがこつです.このときインジェクターにセットしたワイヤーの隙間から勢い欲スプレーの飛沫が飛び散ることがあるので,インジェクターごとウェスでくるんで作業すると良いでしょう.
潤滑剤には,CRC 5-56やWD-40のようなサラサラしたものを使います.このため数ヶ月もすれば潤滑性能が落ちますが,そのときは再度同じ作業をします.潤滑剤にグリースやスプレー・グリースを使わないのは,ワイヤー内部で固まって潤滑作用をしなくなったときに,スプレーを使っても容易に固形物を除去できずインナー・ワイヤー内部が詰まったままになるのを嫌っているからです.
初めてオイル・インジェクターを買ったのは30年ぐらい前で,当時400円ぐらいだったと思います.数年前に新しく買い求めたときは800円でした.構造は昔と変わっていませんから,ロングセラーのアイデア商品なんでしょう.
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<ケミカル類>
●フロント・フォークの潤滑
フォークのインナーチューブとアウターチューブは常にわずかな間隙で接触し,走行中は常に摺動します.ところがインナーチューブはむきだしなので摺動部にほこりや汚れが付着したまま摺動すると,インナーチューブを傷つけてしまい,シールされているはずのフォーク・オイルが漏れ出します.
できるだけ分解清掃せずに済むよう,私はインナーチューブとアウターチューブの摺れる部分に定期的にCRC 5-56を吹き付け,ウェスで拭うようにしています.
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●潤滑油の使い分け
ここでいう潤滑油はエンジン・オイルのことではありません.整備のときに使う各種油脂類のことです.最近は何でもCRC 5-56を一吹きすれば良いと考えている人がいるので,ここにメモしておきます.
(1)スプレー式潤滑剤(CRC 5-56やWD-40)
ごぞんじサラサラの油脂です.潤滑性能は,常温なら数週間ぐらいは期待できます.低速で摺動する(こすれる)箇所には適しません.まめに潤滑する箇所に使います.油汚れを落とすのにも使えます.
グリースのような粘度の高い潤滑が必要な部分には適しません.また,そのような部分に誤用すると油脂を洗い流してしまい潤滑不足を引き起こします.
効能書きには電気関係の接触不良を改善する能力があるかのように書いてありますが,それは(比較的形状の大きな)接点に付着した油汚れや埃を洗い落とせるからであって,基本的には接点不良を解決する能力はありません.電子機器のスイッチやリレーやコネクタなどにむやみにかけると,故障につながります.
(2)スピンドル・オイル(ミシン油)
サラサラの油脂です.CRC 5-56などと同じ用途で使います.一般に高速回転する軸(スピンドル)を潤滑するのに使います.効果は常温で数週間といったところでしょう.
(3)モーター・オイル
エンジンの冷却用オイルです.常温から高温まで,CRC 5-56より粘度が高く,グリースを使うほど粘度を必要としない用途で使います.効果は常温で1年ぐらいでしょう.チェーンの潤滑にも使えますが,チェーンには走行時の飛散の少ないスプレー式グリースがオススメです.
(4)スプレー式グリース
スプレー時はサラサラで,乾くとベタベタになるグリースです.浸透力が強く,粘度が高いのでヒンジやチェーン,低速で摺動する部分に使えます.効果は常温で1年ぐらいでしょう.
(5)グリース(カップ・グリース)
べっとりした半固形の油脂です.ねじ,低速で摺動する部分などに塗ります.効果は常温で1年〜3年ぐらいでしょう.
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●さび止め剤「サビチェンジャー」
武蔵ホルトの錆止め剤「サビチェンジャー」をご存じでしょうか?私はかれこれ四半世紀以上愛用しています.サビチェンジャーは,錆取り剤ではありません.赤錆に塗るだけで錆の進行を確実に止めてくれるので,すごく気に入っています.
CBのフレームや構成部品は鉄ですから,20年の齢であちこちに赤錆が生じていますが,私のCBは赤錆を見つけるたびにサビチェンジャーを塗ってきたので,ボロボロになるような赤錆はありません.ただし,塗った箇所が黒くなりテカテカ光るので,塗りっぱなしだと見かけは悪くなります.

武蔵ホルトの「サビチェンジャー」
錆は鉄が酸化したものです.錆には赤錆(U価の酸化鉄)と黒錆(V価の酸化鉄)があります.黒錆は赤錆がさらに酸化したもので,それ以上に酸化する,つまり錆が進行することがありません.プロの中華料理人や洋食のシェフが新品の中華鍋やフライパンを使い始めるときに,油をひいて強火で空焚きするのをご存じの方もいらっしゃるでしょう.あれはガスの火力を利用して強制的にフライパンの表面に強固な酸化膜(黒錆)を作り,それ以上錆びないようにするとともに,黒色化によって熱吸収率を高めているのだそうです.
サビチェンジャーは,赤錆を化学変化によって黒錆に酸化させて,錆の進行を止めるものです.色はうす茶色で,強い臭いはなく,皮膚に付着しても傷みなどはありません.成分はタンニン酸の類らしいです.
赤錆に塗ると数分間で黒色化し,数時間で手につかなくなり,約24時間でほぼ乾燥します.
2006年の現在では,日本ペイントが同等品を「サビチェンジ」の商品名で発売しており,こちらのほうが内容量が多くて安いうえ,付属ブラシの使い勝手なども良く,オススメです.武蔵ホルトのものと色は同じで,黒色化の程度も同じです.
余談ですが米国の自動車メーカーGMの車体は,1980年代半ばぐらい(?)から,あらかじめ鋼板を酸化処理してあるんだそうです.そのため,塗装が剥がれるとうっすら赤錆が生じるものの,それ以上は錆びが進行しません.日本車ではどうなのかな?
●手に付いた油汚れ落としの決定版「シトラスクリーン」
機械いじりをすると手が真っ黒になります.この油汚れは普通の石けんでは落ちにくく,石けんで洗っても黒い油が塗り広がるだけです.
そんな油汚れにシトラスクリーンがオススメです.小豆大を絞り出して手のひらに塗り広げるだけで,水すら使わずに油汚れがウソのように落ちます.手を拭くときはペーパータオルかきれいなウェスで拭き取るだけです.そのままだとベタベタするので,水洗いすればスッキリきれいになります.
天然由来の成分なので,手が荒れることもありません.使用後は柑橘系の香りがうっすら残ってとても使用感が良いです.価格も数百円と手頃です.
シトラスクリーンも20年近いロングセラー商品ですね.シトラスになる前にも同様の液体ハンドクリーナが発売されていましたが名前を思い出せません.
30年ぐらい前だと,こんな便利なものはなくて,機械いじりで手に付いた油汚れを落とすには「米ぬか石けん」がもっとも効果的でした.これは米ぬかそのものだったのかもしれません.さほど泡立ちませんが,たんなる固形石けんと比べてとても汚れ落ちが良かったものです.しかし,シトラスクリーンにはかないません.

呉工業の「シトラスクリーン」
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<その他>
●機械いじりの必需品といえる革手袋「ブタレンジャー」
革手袋を使い始めたのは,ここ1年ばかりのことです.それまでは素手か軍手で作業していました.そのため手は汚れるは,爪先が黒くなるのを嫌って深爪切りはするわ,しょっちゅう怪我をしてちょっとした出血をするわ…そんなのは当たり前だと思っていましたから気にもしていませんでした.しかし,あるサイトで革手袋の使い勝手を知り,ブタレンジャーを使い始めてからは,まず手があまり汚れません.爪先が黒くなりません.そして何よりちょっとした怪我をすることがなくなりました.私の本職は事務職なので,指先のちょっとした怪我でもキーボードを打つ手には影響があり,普段から指先の怪我には気をつけています.
機械いじりをすると手が汚れますよね.もちろんシトラスクリーンや石けんなどで洗い落とすわけですが,爪の中の真っ黒い汚れまでは落ちません.そもそも私は深爪切りする傾向があります.何の気なしに何十年も深爪切りをしてきたのですが,その理由をあるサイトで思い知らされました.要するに機械工の名人たちは,みんな深爪切りするのです.なぜかというと爪がちょっとでも伸びていると,そこに黒い汚れが残って不快だからです.
さて,ブタレンジャーはお察しの通り豚革の手袋です.プロは重作業には革の厚い牛革の手袋,指先の感覚が求められるような軽作業には豚革の薄い手袋を使うのだそうです.
革手袋を使い始めると,軍手はおもちゃみたいなもので使う気にもなれません.軍手をしていても草木のとげが刺さったり,手袋の中まで汚れが入ってきたりという経験を皆さんお持ちと思います.豚革なら普通に軽作業をするぶんには草木のとげが刺さったり,埃や汚れが手袋の中まで進入してくることもありません.もちろん水分や油分は浸透してしまいますが,軍手に比べたら大きな違いがあります.
金属加工などをするとちょっとした拍子に金属で指の表面を切ったり,切削粉が刺さったり,加工物を手で押さえきれずに暴れたりして怪我をすることがあります.しかし革手袋なら大丈夫です.ドリルや旋盤作業では,けっして軍手を使ってはいけません.巻き込んで大けがをするからです.でも,革手袋なら巻き込まれる可能性はとても低いです.
ブタレンジャーは,DIY店や作業服店で売っています.DIY店なら実売で600〜700円ぐらい,作業服店だとその3分の2ぐらい,ネット通販ならもっと安価です.これでもあなたは軍手を使い続けますか?(^^)

ミタニコーポレーションの「フィットン・ブタレンジャー」
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