■故障と修理
 最近やった修理について記したいと思います.故障を防ぐために行う保守(メインテナンス),分解整備(オーバーホール)もここに記述したいと思います.これらの作業手順や修理方法は私の備忘録にすぎず,自己流の部分もあります.正しい作業手順は純正サービス・マニュアルなどを参考にしてください.

<目次>
フロント・ブレーキのオーバー・ホール
フロント・ブレーキのリザーバー修理
リア・ブレーキのオーバーホール
フロント・ブレーキのゴム・ブッシュ交換

●フロント・ブレーキのオーバーホール(2007年2月)
 フロント・ブレーキは前回のオーバーホール(OH)が1994年11月だったので,13年めの再OHでした(*o*) ちなみにリア・ブレーキOHは前回が1999年4月です.
 今回は市街地走行中に右前が引きずっており,ほんのわずかに加速が悪化していました.信号待ちで車体を前後に揺すると明らかに抵抗があったため路肩に停止して確認したところキャリパーとプレートが手で触れないほど発熱していました.そばの自動販売機でミネラル・ウォーターを買い求めてかけたところ,シューッと水蒸気が立ち上りました(--;
 幸い自宅から数kmの地点だったので,途中で水をかけながらなんとか自宅へ戻りました.

 以下に述べるのは,私にとって生まれて初めてのブレーキOHです.残念ながら写真撮影しながら作業する余裕がなかったので文章だけですが,DIYを考えていらっしゃる諸兄のご参考になれば幸いです.
 後日,リヤ・ブレーキもOHしたのでその写真を追加しました.

<用意するもの>
 部品類は下記です.FCの場合,フロントはφ30,リアはφ26であることに当日気づきました(^^; 当然,ダスト・シールやオイル・シールの直径も異なります.あわててリヤも分解するところでした.

(1)部品類
 (a)φ30ピストン×4個
 (b)φ30用オイル・シール(ピストン・シール)×4個
 (c)φ30用ダスト・シール×4個

(2)ケミカル類
 (a)シリコーン・グリース
  呉工業のチューブ入りが1,000円でした.モリブデン・グリースでも良いのかもしれませんが,サービス・マニュアルにはシリコーン・グリースと指定されています.シリコーン・グリースはゴム部品を冒しにくく,汎用リチウム・グリースより長寿命のようです.色は白色です.

 (b)汎用リチウム・グリース
  可動部に塗ります.ゴムブーツ類にはシリコーン・グリースが指定されていますが,リチウム・グリースでもよいでしょう.

(c)DOT-4ブレーキオイル,0.5L
 ホンダ純正品が1,000円でした.

(d)ブレークリン
  呉工業の炭化水素系溶剤のスプレー式速乾性クリーナーです.アセトンを含んでいないので,プラスチック部品やゴム部品にも安心して使えます.あれこれ使えるので特大サイズがおすすめです.

 (e)CRC5-56
 呉工業の潤滑剤です.ピストンを外すときに少しスプレーすると固着したピストンも動きます.

(3)工具類
 (a)エア・コンプレッサ
  1.25馬力の小型のものです.最大15kg/cm2ぐらいまで設定できます.これがないとキャリパーからピストンを出すことができませんから必須です.



 (b)ワンマン・ブリーダー
  安価なものは数百円からあります.要するにキャリパーのブリーダー・ボルトに接続するチューブとワンウェイ・バルブがセットをセットにしたものです.

 (c)空の500mLのPETボトル
  ブリーダーからの廃フルードをためるのに使います.

 (d)角形のプラ皿(バット)
  30×40cmぐらいで深さが5cmぐらいのプラスチック製バットです.作業はこの中で行います.もしフルードが漏れてもここに溜まります.オイル交換用に買ったものです.

 (e)マイティーバック(Mighty-Vac)
  手動式の吸引機です.ワンマン・ブリーダーがあれば不要かと思いましたが,さにあらず.やっぱり必須のようです.フルード流路の上流で大量にエアをかんでしまうと,ワンマン・ブリーダーではブレーキ・レバーをいくら操作してもフルードが入っていかない状態に陥りました.ワンマン・ブリーダーに代えてマイティーバックで吸引すれば,フルードをグイグイとブリードできます.値段は少し高いですが,その価値があります.



 (f)シャコ万力×4個(C形クランプ)
  FCのフロント・ブレーキのピストンは4個あるので,4個のシャコ万力があると便利です.ピストンがキャリパーから飛び出すのを防いだり,ピストンをキャリパーに入れるときに使います.100円ショップにて1個100円です.



 (g)ハンマーとプラスチック・ハンマー
  キャリパーをディスクから外したり,取り付けたりするのに使うことがあります.ハンマーで直接叩くのではなく,プラスチック・ハンマーを当て木代わりに叩くとキャリパーに傷がつくのを防げます.このプラスチック・ハンマーも100円ショップにて100円でした.



 (h)軽量コンクリート・ブロック
  作業時の小テーブル代わりに垂直に立てて使います.ホームセンターにて1個200円ぐらい.

<分解手順>
(1)右側キャリパーをディスクから外す
 ねじを外してから,ディスクプレートから外します.外しにくいときは,プラスチックハンマーを当てて,中型ハンマーで軽く叩くと少しずつずれていきます.

(2)パッドを外す
 このとき右側か左側か,内側か外側かを油性フェルト・ペンでパッドに記入しておきます.

(3)二つのピストンがあるので,できるだけ油圧で出しておく
 ブレーキ・レバーを握ると,片側のピストンだけが飛び出します.そのままだと,片側だけが外れてしまうので,シャコ万力で片側のピストンが外れる直前ぐらいの位置に制限しておきます.片側が制限位置に達すると,制限をかけていない側のピストンが出てきますが,これも完全に飛び出してしまわないようにシャコ万力で制限をかけておきます.
 新品のピストンと比べると,どのぐらいピストンがキャリパーに残っているかがわかります.

  ←写真はリア・キャリパーのもの

(4)次に左側のキャリパーを外し,パッドを外す
 パッドに左右,内外をマーキングする.

(5)左側キャリパーのピストンもできるだけ油圧で出しておく
 シャコ万力を使い,ピストンが飛び出して外れる直前にしておきます.こうして二つのピストンを外れる直前まで出しておきます.

(6)右側キャリパーのバンジョー・ボルトを外す
 このときキャリパーからブレーキ・フルードが流れ出るので,ウェスでくるんでおきます.

(7)ピストンを外すため,バンジョー・ボルトが入っていた穴にエア・コンプレッサにつないだエアー・ガンの空気を送る
 コンプレッサの空気圧は5kg/cm2ぐらいにしておきます.また,エアー・ガンで空気を送るとキャリパー内のオイルが吹き飛ばされて大量のしぶきをまき散らします.これを避けるため,薄手のウェス1枚をバンジョー・ボルト穴に載せて,エアー・ガンのノズルをエアが漏れないようボルト穴にしっかり押し込んで,ちょっとずつ空気を送り込むのがこつです.
 サービス・マニュアルには「エアガンのノズルをオイル・ボルト穴に近づけすぎると危険」と書いてありますが,実は密着させないと残っているフルードがエアに吹き飛ばされて,すごい飛沫を浴びることになります.顔や頭に何度か浴びました(--; 目がねをしていたので幸い目に入ることはありませんでしたが,要注意です.ですから,実はエアー・ガンのノズルを密着するようにするのが正しいようです.ただし,高圧エアをいきなり入れるとピストンが勢い良く飛び出すので危険です.
 ピストンが外れるときは,勢い良くボンッと飛び出すので,これを避けるため,シャコ万力でピストンが外れても飛び出さない位置程度に制限をかけておきます.
 また,指を挟まないよう,この作業中はキャリパーの内側に指を入れないように十分注意します.
 できるだけ二つのピストンが同じぐらいの位置まで迫り出すよう,シャコ万力でバランスをとりながら空気を送り込みます.
 後日,この作業を大きめの透明ビニール袋の中で行ったところ,ブレーキ・フルードの飛散がビニール袋内で留まるのでとても快適でした.
 ピストンの根本が2mmぐらいしか入っていない状態になると,素手で外れるはずです.素手では難しいときは,プライヤーでピストンの端を少しつまんでグイグイ傾けるとピストンがゆるんで抜けてきます.ラジオペンチの先にゴムが付いたような専用工具が市販されていて,ピストンの内側に差し込んで引き出す方法もあるようですが,そんな工具は素人には不要だと思います.エア・コンプレッサの圧力で押し出すのがベストだと思います.

(8)ダスト・シールとオイル・シールを除去する
 ピストンを外したら,ダスト・シールとオイル・シールをマイナス・ドライバーの先で奥へこじるようにして除去します.
 そしてシリンダの溝に付着した汚れを削り,ウェスで拭き取ります.
 最後にブレーキ・フルードを少し入れて,汚れをきれいなウェスで拭き取ります.

<組み立て手順>
(1)新品オイル・シールと新品ダスト・シールをグリースまみれにしてから,溝にはめこむ
 オイル・シールが奥で,ダスト・シールが外(パッド側)です.オイル・シールは幅広で溝がありません.ダスト・シールは幅が狭くて,内のりに溝があります.溝がピストンの中心側になるようはめこみます.
 はめたらねじれがないか,確認します.

(2)新品ピストンの外周全体にグリースを薄くぬって,キャリパーにはめ込む
 まっすぐの位置になるまでは入りにくいが,まっすぐになるとスーっと軽く入っていきます.今回は右前のキャリパー2個のうち1個が焼き付きをおこしてのですが,その1個はピストンが入りづらく,結局シャコ万力で途中まで入れました.最後の1/2ぐらいは軽く入りました.
 左側のピストンは,まっすぐに入れるまでが固いものの,以降は指でスムーズに奥まで入れることができました.

(3)パッドをキャリパーにセットしてキャリパーをフォークに取り付ける
 このとき左右のキャリパーを両方とも取り付けます.

<エア抜き>
(1)ブレーキ・フルード・リザーバーにフルードを満たす

(2)右キャリパーのオイル・ブリーダー・ボルトをゆるめて,ワンマン・ブリーダーを接続する
 ブリーダー・パイプの先はPETボトルに入れ,廃フルードをためます.

(3)レバーを握ってポンピングする
 今回は上流と下流の両方に大量のエアが入ったせいか,レバーをポンピングしてもリザーバー内のフルードが全く送り込まれませんでした.そこで,ブリーダー・ボルトにマイティバックを接続して,フルードを吸い出したところ,排出され始めました.

(4)リザーバーのフルードがなくなりそうになったら補充しつつ,マイティーバックでフルードを排出する
 3回ぐらいフルードを足したところ,レバーによるポンピングが可能になった.右側はこれで終了し,ブリーダー・ボルトを閉めました.
 このとき排出されるフルードには大きなエアがところどころ入っているのが透明チューブを通して見えました.

(5)次に左側キャリパーも同様にマイティーバックで吸い出す
  こちらはシェイクのように細かい泡が出てきます.かまわず吸い出します.2回ほどフルードを足したところで雨が降ってきたので終了しました.ブリーダー・ボルトを閉めたら,ブレーキの当たりが復活していたので,取りあえずこれで終了としました.
 翌日,試走したところバッチリ復活していました!

<その他>
(1)オイル・ボルトはしっかり締め付けること
 今回フロントに引き続き,リア・キャリパーもOHしました.ついでにヤフオクで手に入れた中古のステンレス・メッシュ・ホースに交換しました.エア抜き作業を始めたところ,マイティーバックで吸いまくっても一向に当たりがでません.不審に思って,ワンマン・ブリーダーで作業をしたところ,なんとペダルを踏み込むたびにマスター・シリンダ側とキャリパー側の両方のオイル・ボルトの根本からフルードがピューッと…(--; アルミ・ボルトだったので閉めすぎによるねじ切りを恐れて固く締め付けなかったのが原因でした.しっかり増し締めしたら,簡単に当たりがでてエア抜きを完了できました.



(2)スライド・ピンをグリース・アップすること
 FCのディスク・ブレーキは,フロントもリアも片押し2ポット・キャリパーです.
 片押しキャリパーは制動時にキャリパーが(車軸と平行な方向へ)わずかにスライドして,両方のパッドでディスクを挟む構造です.このスライド動作の要がスライド・ピンです.スライド・ピンが固着すると,制動力の低下,パッドの片減り,ブレーキのひきずりなどが生じます.
 キャリパーを組み付けるときは,スライド・ピンをシリコーン・グリースでグリース・アップするほか,ゴム製のピン・ブーツにもシリコーン・グリースを塗って組み込みます.(安い部品ですから)ブーツが劣化していたら新品と交換しておきましょう.

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●フロント・ブレーキのリザーバー修理(2007年2月)
 上述のフロント・ブレーキOHにはオマケがあります.リザーバーの蓋を開けようと2本のねじを外したら,途中からポッキリ折れてしまいました.鉄製のねじの先端が錆びており,アルミ製のブレーキ・レバー・マウントとの間で電食したようで,ねじの部分が途中から折れていました.なお,FZ〜FBの蓋のねじは4本,FCは2本です.
 リザーバーの容器そのものは壊れていません.リザーバーの容器はOリングの部分が固着していて,どんなにこじってもそこが外れません.そこで外すのをあきらめて,ねじの復活を図ることにします.といってもマウント内に残ったねじは外せないので,リザーバー・タンクのねじを通す穴にホットボンドを満たし,熱いうちに35mm長ぐらいのタッピング・ビスの皿ねじをねじ込みます.で,素知らぬ顔でねじ止めしたらバッチリOKでした.2〜3度開け閉めしましたが大丈夫のようです.しばらく(数年間?)はこれでしのげます.その間に中古部品か代替部品を探すことにします.
 後日,リザーバーやレバーを含むマウントの純正部品の在庫を調べてもらったところ,在庫なしでした.もはや新品は入手不可能のようです.

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●リア・ブレーキのオーバーホール(2007年2月)
<作業上の注意>
 作業はフロント・ブレーキOHと同様なので省略します.下記に要注意です.

(1)ショック・アブソーバーの下端のボルトをソケット・ドライバで回すな!
 リア・ショックをスイング・アームに固定しているボルトをソケット・ドライバで回すと,ソケットが外れなくなってひどい目にありました.これは左右とも同じです.
 ボルトがゆるんで飛び出してくると,マフラーとの間にソケットがひっかかって外せなくなります.あわててもう一度ねじ込もうにも,いったんねじ山部が抜けていると,スイング・アームが自重で下がって,ねじ穴がわずかにずれているので,元通りに締めることもできずにっちもさっちもいかなくなりました.
 このとき右側はスイング・アーム端を片手で持ち上げながら,ねじ穴をあわせてどうにか元通りに締めこむことができたので,メガネ・レンチで改めて外しました.
 左側は深刻で,ソケットの頭を押さえ込んでもねじ頭との間に隙間があるせいか,いったん外したボルトが入っていきません.結局,購入したばかりのバイク用ジャッキでスイング・アーム端をわずかに持ち上げてねじ穴を合わせて,根気よくソケットを手で締めつけながら回したら元通りに締まってくれました.その後,メガネ・レンチで外しました.もしバイク・ジャッキがなかったらバイク屋行きでした(--)

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●フロント・ブレーキのゴム・ブッシュ交換(2007年3月)
 フロント・ブレーキ・キャリパのサポートにはいくつかゴム・ブッシュが使われています.外側から交換できるものがほとんどですが,下記の写真に矢印で示す位置の裏側にある内側ブッシングはフロント・ホイールを外さないと交換できません.



 フロント・ホイールを外すには,どうしてもジャッキが必要です.最近はバイク用ジャッキも安価になっているようなので購入し,挑戦しました.
 ジャッキはアストロプロダクツ製の「L字サポート」タイプです.このジャッキにはV字サポート・タイプも別売されていますし,後日サポート部分だけを購入して差し替えることもできます.ただし,2007年2月時点ではV字サポート型は品切れでした.
 無改造のCB-Fだとフレーム(ダウン・チューブ)直下にマフラーが通っているため真下から支えるV字サポート・タイプは使えそうにありません.そこで横からサポート板を差し込んでフレームを持ち上げられるよう「L字サポート」タイプにしました.
 
<ジャッキアップ手順>
(1)水平で強固な地面にセンター・スタンドでバイクを立てる
 私はコンクリートやアスファルトの路面に30×40cmで厚さ1mmぐらいの鉄板を敷いて,その上にセンター・スタンドで立てています.鉄板を敷く理由は次の通りです.
 アスファルト舗装の場合,たとえば夏期にはアスファルトが軟化しており,センター・スタンドの接地する2点が凹むことがあります.200kgを超える重量が2点に集中するわけですから,当然です.これを繰り返しているとアスファルト路面が凹みだらけになってしまいます.また凹む具合によっては車体が傾き,転倒する危険性も考えられます.
 また,コンクリート路面といえど地中がどうなっているかわかりません.重量物を置くことを想定してあれば,砂利敷きしたうえで鉄筋を張ってから厚くコンクリートを打ちしてあります.しかし,普通はせいぜい砂利敷き+コンクリートだけでしょう.この場合,地下水または雨水の浸透によって,土が流されて最悪の場合は地中が中空になっているかもしれません.そこへ200kgを超える重量物を2本のセンタースタンド先端で力を加えると,どちらかに穴が空いてバイクが転倒するかもしれません.そのような事故を防ぐためにも鉄板を敷いて重量分散を図っています.

(2)メインのジャッキアップ
 メイン・ジャッキとしてバイク用ジャッキを使い,フレーム(ダウン・チューブ)にサポートを当ててジャッキアップします.無用に高くジャッキアップすると危険です.このとき接地しているのはセンター・スタンドの2端とリア・タイヤの3点です.わずかにフロント・タイヤが上がる程度で留めます.

(3)サブジャッキでジャッキアップ
 万一,メイン・ジャッキが外れても前のめりになることがないよう,自動車用の油圧式パンタグラフ・ジャッキでオイルパン下部を支えることにしました.このときオイルパンが傷つかないように当て木を入れておきます.
 油圧式ジャッキはリリース・バルブを一気にゆるめるとドスンと着地してしまい危険なので,リリース・バルブをゆるめるときは細心の注意を払ってわずかずつゆるめるようにします.
 こうしてジャッキアップしたのが下記の写真です.


鉄板を敷いてメイン・ジャッキとサブジャッキで持ち上げる

 
左:サブジャッキが見える,右:当て木を当ててオイル・パンを持ち上げる

(3)ジャッキアップ状態をチェック
 メインジャッキとサブジャッキで車体を持ち上げると,前輪と後輪の両者が浮いてしまいました.この状態で万一,メインジャッキが外れたときのことを想定してメインジャッキをゆるめてみます.するとサブジャッキとセンタースタンドでちゃんと立ってくれました(^^) ハンドルを左右に切ったり,少しだけ揺らしてみて大丈夫かどうか確認します.
 ジャッキアップした状態で,さらに10分間ほど放置して異常がないことを確かめます.この間は休憩時間です(^^) これで異常がなければ,安心して作業できそうです.

<フロント・ホイールの取り外し>
(1)ジャッキアップする前にやっておく作業  (a)フォーク端のブラケットのボルトをゆるめる
  少しゆるめるだけです.ジャッキアップしてからでは,固着したボルトをゆるめるのは車体を揺らす可能性があって危険です.着地した状態でゆるめる方が安全です.

 (b)フロント・キャリパとキャリパー・サポートを外す
  特にキャリパー・サポートはフロント・ホイールのアクスル(車軸)が少しでも外れかかるともう抜けません.再度フロント・ホイールを組み付ける羽目になります.

 (c)スピード・メータ・ケーブルを外す
  プラスねじを1本外すだけで外れます.

(2)アクスル・ブラケットを外す
 フォーク端の左右各2本のボルトを外すとブラケットが外れます.4本のボルトのうち3本はナットで,残る1本はボルトでした.なぜこうなっているでしょうか? たぶん全てがボルトだと外しにくいせいかな?(でも全部ナットにしておけば良いような気がする.)
 外したら即座に進行方向と左右の区別を油性フェルト・ペンでブラケットの内側に記入しておきましょう.一応,ブラケット外側には進行方向を表す矢印がエンボスで表示してありますが,左右は表示されていません.

(3)フロント・ホイールを外す
 必要に応じてさらに少しだけジャッキアップしてホイールを外します.

<ゴム・ブッシュの交換>
(1)この部分のゴム・ブッシュはサークリップ(スナップリング)で留まっています.このためスナップリング・プライヤーがあると便利です.私は100円ショップの100円工具を使っていますが,千円ぐらいするものと大差ない操作感と仕上がりです.
 スナップリング・プライヤーには,先端がストレートのものと直角に曲がったもの,スプリング入りとそうでないもの,グリップを握って開くタイプとグリップを握って閉じるタイプなどがあります.私はすべて持っていますが,使ったのは先端が直角に曲がったラジオペンチのような形状で,スプリングが入っていないものです.開くのにも閉じるのにも使えました.

(2)劣化したゴム・ブッシュをサークリップごと外し,新しいゴム・ブッシュをシリコーン・グリースでべとべとにして,サークリップでセットする.
 新しいゴム・ブッシュをセットする作業は,簡単な作業ですが,なかなか思う位置にサークリップが留まってくれなくて,何度も何度も入れ直しました.こつがつかめるまで時間がかかりました.

<フロント・ホイールの取り付け>
(1)キャリパー・サポートなどを取り付けない状態でホイールをセット
 先にも述べましたがキャリパー・サポートを先に取り付けるとタイヤがつかえてしまい,ホイールをセットできません.キャリパーサポートはホイールをフォークエンドに完全に取り付けた位置でないとリムが邪魔して取り付けられません.

(2)フォークを開き気味にしてアクスル・シャフトをセット
 右アクスル・シャフトはストッパーがあるので容易に位置決めできます.ヒダリアクスル・シャフト端はフォーク面と一致するように(フォークが少し開き気味になるよう)取り付けます.さもないとキャリパー・サポートの内側がブレーキ・ディスクと接触してしまいます.

 
右側アクスル端はストッパー位置がある.左側アクスル端(スピードメーター・ギヤ側)はフォーク面と一致

 左側はスピードメーター・ギヤが正しい位置にセットされるようアウター・フォークに突起(写真に黄色い矢印で示す)があります.
 アクスル・ブラケットを軽く締めこんだら,スムーズに抵抗なくホイールが回転することを確かめます.

(3)キャリパー・ブラケットとキャリパーを取り付ける
 ブラケットのピンやキャリパー・スライド・ピン,ゴム・ブッシュやゴム・ブーツ類はシリコーン・グリースを塗って組み付けます.

<ジャッキ・ダウンする>
(1)メイン・ジャッキとサブジャッキを交互にゆるめながらゆっくりジャッキを下げる
 サブジャッキの油圧ジャッキはリリーフ・バルブを急に緩めると一気に下がるので,細心の注意を払ってわずかずつ操作します.

(2)最終確認
 ホイールがスムーズに回転し,ブレーキ・フィーリングを確認して作業終了です.

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