■トラブルの思い出
ここでは,記憶に残るトラブルについて記したいと思います.
その1:夕闇迫る奥多摩の山中でパワー・ダウン事件
その2:キャーッ!?ブレーキから白煙もくもく事件
その3:長期間放置後に原因不明のエンジン不調事件
●夕闇迫る奥多摩の山中でパワー・ダウン事件
<季節外れの奥多摩へ>
十数年前の晩秋の週末の昼下がりのこと,大田区から奥多摩周遊道路を経由してその日のうちに戻ってくるつもりでCB750Fで出かけました.当時,週末にときどき奥多摩方面へ日帰りツーリングすることがありましたから,道に迷うこともなく奥多摩周遊道路の入り口に到着し,すでに日が暮れかけていたにも関わらず奥多摩中心部に向かってバイクを進めました.
上り坂にさしかかったあたりで,異変に気づきました.アクセルを開けても力がなく,思うように走りません.はじめはガス欠かと思いましたが,燃料は十分に残っている状態でした.念のため燃料コックをリザーブに切り替えても症状は改善しません.燃料切れでないことは明らかです.
奥多摩周遊道路は,奥多摩湖を一周する有料観光道路(現在は無料)で,冬季になると通行止めになるような山奥の道です.日が暮れると街灯もなくあたりは真っ暗になります.舗装されガードレールが完備しているとはいえ一周19.7kmの山道です.途中にガソリンスタンドも店舗も民家もありません.

奥多摩周遊道路(檜原口ゲート)(写真は当時のものではありません.)
<なぜ?坂を登ってくれない!>
そんな暮れなずむ山道の入り口を数kmぐらい走った登り坂でエンジンがパワー・ダウンしてしまったのです.走りながらあれこれ考えをめぐらし,原因は何だろうと考えていたら,ロー・スピード・キャンセラLSC-1が走行中に頻繁に電源ON直後のランプ・テスト・シーケンスを繰り返し始め,これで何が起こっているのかを理解できました.電源電圧が異常に低下しているのです.おそらく,原因はジェネレータの不良です.LSC-1内部の+5Vレギュレータの入力電圧が8Vあたりを切ってしまい,出力が4.75Vあたりを下回ったため,LSC-1内のリセット用ICであるPST520がリセット信号をマイコンに送っているに違いありません.つまり,もうバッテリの端子電圧は7〜8Vしかないはず(-_-;)
季節外れのうえ,すでに夕暮れを過ぎようとしている時間帯だったので,他に走っている車もバイクもありません.
まだ奥多摩山中の山深い地点にいるので,なんとかしてガソリン・スタンドのあるところまでたどり着かなければなりません.そうすれば何らかの対策を打てるかもしれません.

写真は本文と関係ありません(写真は当時のものではありません.)
<情け容赦もなく夕闇に>
そうこうしているうちに秋の夕日のつるべ落とし,とっぷり日が暮れてしまいました.最初はポジション・ライトを点灯していましたが,すぐにOFFにしました.残り少ないバッテリー残量を少しでも長持ちさせるためです.
自分以外に走っているバイクも車もない状態で,ほとんど真っ暗の山道を薄明かりを頼りに,心臓が縮みあがる思いをしながら長時間徐行走行しました.また,バッテリー点火のCB750Fは,フィールド・コイルやイグニッション・コイルに電流を流しつづけてしまいます.そこで下り坂ではイグニッション・キーをOFFにしてバッテリーからの流出電流をゼロにして惰性で走行しました.そして下り坂が終わる前にイグニッション・キーをONして,セルモータを使わずに走りながらクラッチ・ミートして,エンジンを再始動して…というのを繰り返し,どうにかこうにか走り続けました.
もうダメか,早く周遊道路を抜けてくれ〜…そうこうしているうちに,どうにか周遊道路の終点にある無人ゲートを通過しました.でも,まだガソリンスタンドのある集落まで数kmはありそうです.最悪の場合は「バリバリ伝説」のグンのように重いCB750Fを押し歩きすることも覚悟しました.
周遊道路を抜けると,数百mおきとはいえ街路灯がありました.また数分に1台とかの少ない台数ながら走っていく車もいるので,追突されないようポジション・ランプ状態で時速30kmぐらいでトロトロと走行しつづけました.
そうして,もうエンジンが停止しそうになって押し歩きを覚悟した頃,はるか先にガソリン・スタンドと思しき明かりが見えました.
結局ガソリン・スタンドの手前でエンジンは停止してしまい,かなりの距離を押し歩きましたが,どうにかたどり着きました.事情を話してバッテリを強制的に急速充電してもらいました.とはいえせいぜい30分ぐらいでしょうか.
<謎のブラック・ライダー!?>
急速充電した結果,エンジンが快調にかかるまで回復したとはいえ,ヘッドライトを点灯して走行するとあっという間に電荷が尽きてしまうはずです.そこでポジション・ランプの状態で走り始めました.信号待ちで他の自動車(乗用車)の後ろについたら,そのまま十分な車間距離を保ったまま,ポジション・ランプで走り続けるのです.大電流を消費するヘッドライトを点灯するわけにはいかないので,誰か先導してくれる車の後ろについていくしかありません.バイクはぐんぐん走り去ってしまうのでついていけません.
さて,そういうわけで信号待ちでとまった乗用車の後ろについて追走しはじめました.交通量は少ないし,道は空いています.普通ならバイクは車を追い越していくはずです.
思うに自動車(乗用車)のドライバーは,最初はおとなしいライダーだなぁ…と思ったことでしょう.道路は長い長い一本道で,たまに街灯がある程度,両側は奥多摩地方特有の背の高いうっそうとした杉林です.次の信号でも,また次の信号でも追い越さず,ヘッドライトも点けず,信号待ちではポジション・ランプすら消して真っ暗で待っていて,ず〜っと追跡してくるバイク….ドライバーは不審なバイクに胸騒ぎを覚えたに違いありません.数km走ったところで,前を走っていた車が路肩に停車して私をやりすごそうとしました.でも,それじゃ私は困るんです(^^; あなたの車のヘッド・ライトとテール・ライトの明かりを頼りにどうにかこうにか走っているんですから….で,私も数十mの距離を保ったまま路肩に停止して,前の車が発進するのを待ちます.数分間が過ぎたでしょうか…車のドライバーがしびれをきらしてか再スタートしました.心の中では「すみません,かくかくしかじかでして…」と説明したい思いでいっぱいでしたが,数十mの距離を歩いていって説明するのも何なのです.しかも,まだまだ交通量が少ない地点だったので,前の車を逃すと,またしばらく先導してくれる他車は見つかりません.

写真は本文と関係ありません(写真は当時のものではありません.)
<町の明かり>
そうして走っていくと,ようやく町の明かりが見えてきました.国道20号線にたどり着いたようです.ここで長いこと先導してくれた前の乗用車とはおさらば.事情も説明しないですみませんでした.その乗用車の運転手も,ひと安心したことでしょう.
私もヘッドライトを点灯しなくとも十分に前方が見えるぐらい明るい街中の走行なら気が楽です.(夜間にヘッドライトを点灯しないで走行するのは,もちろん道交法違反です(^^;) それに,どこでエンストしても近くにガソリン・スタンドがあります.まぁ,ようやく危機的事態を脱したといえるでしょう.
結局,もういちど八王子市内でバッテリーを急速充電してもらい,ゆっくり安全運転でどうにか大田区へたどり着くことができました.
<修理>
原因は,やはりジェネレータでした.ステータ・コイルの1相がレア・ショートしていました.レア・ショートはアナログ・テスターのΩレンジでは見破りにくいものです.DMMでも見破りにくいです.確実なのは1Aぐらいの既知の電流値をコイルに流し,その電圧降下を測定する方法です.
結局,ステータ・コイルを巻きなおすことは素人には不可能なので,純正ステータ・コイルを発注して交換しました.当時11,500円ぐらいでした.
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●キャーッ!?ブレーキから白煙もくもく事件
<CBのディスク・ブレーキは半人前?>
CB750Fのディスク・ブレーキは,今どきのバイクのような対向ピストンではなく,片側にしかピストンがありません.キャリパーは少しガタガタの状態になっていて,ブレーキを操作するとピストンが押されて,そのときキャリパーが適当にズレてディスク・プレートを挟む…そんな方式です.ピストンが戻るときは,適当にディスク・プレートの歪みで押し戻されて,どうにかこうにかパッドとの間に隙間ができるのでしょう.1970年代初頭に流行った少年向け自転車のディスク・ブレーキみたいな片押しディスク・ブレーキなのです.
そのせいか,正常な状態でも少し引きずっている感じで,バイクを押し歩きしたり,徐行したりするときには,すりガラスを爪でひっかくようなキイキイ音がします.これはCB750Fの持病だと観念しています(^^;
ユーザー車検の前などで,どうしても何とかブレーキの引きずりを対策したいときは,行きつけのバイク屋さんにブレーキOHをお願いしていました.でも,その後1年もすれば元のように引きずるようになってしまいます.
<ちょっといつもより引きずってる?>
バイクにあまり乗らなくなっていた10年ぐらい前の初夏の曇天のある日,自宅から池袋方面へとバイクを走らせました.思えば走り始めたときから引きずり感があって,そろそろまたブレーキOHをバイク屋さんにお願いしないといけないけど…面倒だし,お金もかかるし…でほったらかしにしていました.
走り始めてしまえば,十分なトルクがありますから少々の引きずりは気になりません.でも,その日はアクセルをOFFにするとエンジン・ブレーキ+αの減速感がありました.
数km走って信号待ちの交差点をすぎた頃から,ずいぶんエンジン・ブレーキ+αの減速感が強烈になってきました.どうもフロント・フォークが立つ感じなのです.40km/hぐらいで走っていたとき,突然フロント・ブレーキが「ブォー」と鈍い音を出し始め,あろうことか白煙がもくもく立ち上り始めました!(*o*) 私は何が起こったのかわからず,あせりましたが,たまたまその場所は道幅が片側1車線しかなく,狭い工事中の道路でした.とにかくバイクを止められそうな場所を見つけて,すぐに路肩に停止しました.
フロント・ディスク・プレートは赤熱こそしていませんでしたが,プレートもキャリパーも素手で触れないほどトッチンチンに発熱していました.すぐさま近所のお店(酒屋さん?)に飛び込んでミネラル・ウォーターのPETボトルを買い,ブレーキにかけて熱を冷ましました.
水をかけると水が潤滑剤として機能するせいか,そのときばかりは引きずり感が減少します.そこで少し走っては水をかけながら,行きつけのバイク屋さんに駆け込みました.幸い自宅から数km,バイク屋さんまで2〜3kmぐらいの距離だったので助かりました(^^)
<おしまい>
結局,フロントとリアのブレーキをOHしてもらい,復活しました.当時の私は,エア抜きすらバイク屋さん任せでした.
今はパッド交換も,エア抜きも,引きずり対策のメインテナンスも自分でできるようになりました(^^) やってみれば簡単なことでした.エア抜きのために米国製のMighty Vacなんかも買ったのですが,そんなものは不要でした.安い店なら数百円ぐらいで売っているワンマン・ブリーダーがあれば,数分で完了してしまうんですね.知らなかったぁ…(^^;
ブレーキは命を預けている大切な部品ですから,今後はこのようなことのないよう日頃からメインテナンスしておこうと思います.
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●長期間放置後に原因不明のエンジン不調事件
<なぜかパワーがなく燃費が悪い>
CB750Fに乗り始めてからほぼ20年になります.最初の数年間は頻繁に毎週乗っていましたし,遠乗りもしていました.しかし,それをすぎるとあまり乗らなくなっていました.車を買ったり,仕事が忙しくなったりするとなおさらです.
でも,私はやっぱりクルマよりバイクのほうが好きです.(実はバイクより自転車のほうがもっと好きかもしれません)
さて,かなりご無沙汰していたCB750Fに数年ぶりに乗り始めたある日のことです.そもそもエンジンのかかりが悪かったように記憶しています.ガソリンが古くなっているせいかもしれないと思って,タンク内のガソリンを捨てて,近所のガソリン・スタンドまで押していって,新しいガソリンを入れたのですが症状は変わりませんでした.燃費もリッターあたり数kmと極端に悪化していました.正常なら街乗りの渋滞でもリッターあたり12km程度は走ります.また,エンジン始動直後は4気筒のうち1気筒が燃えていない感じです.燃えているかどうかは,マフラーの入り口をウェスで触れたり,マフラーの出口に手のひらを当ててみればわかります.走り始めてしばらくすると,4気筒燃え始めるという感じでした.
<もうエンジンが寿命かも?>
そのころ,冬でもないのにマフラーから白い煙を吐くようになっていました.これはバイクの整備書で読んだことのあるオイル上がりの兆候だと思いました.もうCB750Fも古いから,ピストン・リングが劣化して,とうとうオイル上がりの症状を見せ始めたのかもしれません.
私のCBは,東京を出発点として北海道も本州も九州も四国もあちこち自走で走破しているので,走行距離も10万km近いです.だからもうエンジンOHしないとイケナイんじゃないかと…,となると金額的にも30万ぐらいかかるかも…,だったら別の中古バイクが買えるし…,でもCB750FCを手放したところで乗りたいバイクもないし….などと考えつつ自宅周辺を走っていたとき,どんどんパワーが落ちている感じで,とうとう近所のちょっときつめの坂道を登らないほど力がなくなっていました.
でも,思い当たる原因は前述のオイル上がりの症状ぐらいしかありません.
<コンプレッションを測ってみよう>
当時,インターネットがそろそろ流行始めたころ(たぶんWindows 95の頃?)で,東京都内のバイク屋さんが掲示板を運営していました。とても良心的なバイク屋さんで,掲示板で相談すると,原因と修理の見積もり,自分でできるチェック・ポイントなどを教えてくれるサイトでした.エンジンOHの見積もりをもらうつもりで,そこに書き込んだところ「まずはコンプレッション(圧縮)を測ってみてください」とのアドバイスをいただきました.もしピストン・リングが劣化したり,エンジンが劣化しているのなら,コンプレッション(圧縮)が下がっているはずだからです.そこで,行きつけのバイク屋さん(ホンダ・キャピタル)で圧縮比を測定してもらいました.圧縮比の測定だけなら,その場で油圧ジャッキに載せてやってくれて,4気筒で2,500円ぐらいでした.
さて結果はというと,12.0kg/cm2,12.0kg/cm2,11.9kg/cm2,12.0kg/cm2でした.12±1kg/cm2というのがサービス・マニュアルに記載の値です.つまりエンジンは新品同様で問題ないとのことでした.
<では原因は?>
バイク屋さんのメカニックの方に,なぜコンプレッションを測りたかったのか尋ねられたので事情を話すと…,まずキャプレターからガソリンをじゃぶじゃぶ抜いてくれました(古いガソリンを排出したのかな?),次にプラグを見てからエンジンをかけて,油圧リフタの上で思いっきりエンジンを吹かしてくれました(堆積したカーボンの除去?).すると真っ黒い煙がモウモウでました.
メカニックの人:「おかしいですね〜,ところでエア・クリーナーはどうなってます?」
私:「あっ…」言葉を失って,いつも携行している手帳のバイク整備記録欄を見ると,最後に交換したのは11年前の2回目の北海道ツーリングの直後でした.ぐは〜,10年以上も交換しておらず,しかも湿気を帯びたせいか,空気を吸いにくくなり,異常にリッチな空燃費になっていたようです(^^;
私:「11年前です…」(-.-;
メカニックの人:「それですよ.原因は!」(^o^)
その場でエアクリーナ・エレメントを発注し,翌週に交換したら,ウソのように不具合が直ってしまいましたとさ.終了〜〜(^.^;
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